売れているビジネス書から考える『FACTFULNESS ファクトフルネス』
FACTFULNESS ファクトフルネス
ハンス ロスリング、オーラ ロスリング、アンナ ロスリング ロンランド
訳 上杉周作、関美和
最近一番売れているビジネス書らしいので、拝読させていただきました。
この本の要旨は簡単にいうと
- 統計によって真実を見定めよう
- 数字によって意外なほど世界がよくなっているのが分かる。
- それでも正しく認識して答えられる人間は少ない
- 世界を悲観的にみるさまざまな人間の思いこみ本能から解放されよう
ということになります。世間で報道されるニュースは悲観的なものばかりだがそれは人間が悲観的なニュースを好むからで、「これだけ事件の数が減りましたよ」というニュースは受けないので流されることはない。みんなが興味を持つ悪いニュースによって世界が悪い方向に進んでいると思っているけれども、統計から見ると世界はよくなっているということになります。
世界がよくなっているという数字の福音
具体的に例をあげてみましょう
少子化の日本とは逆に、アフリカなど世界全体では人口増加が問題になってニュースになっています。そこで
15歳未満の子供は、現在世界に約20億人います。国連の予測によると、2100年に子供の数は約何人になるでしょう?
A.40億人 B.30億人 C.20億人
FACTFULNESS ファクトフルネス
本を読まれたときのことを考えてあえて答えは書きませんが、そんな感じで様々な「世の中がどんどん悪くなっていると思っていること」と「統計からみた真実」を比較しています。また、どれだけ多くの割合でこのような問いに間違っているのかというのも示しています。
世界を悲観して見ている人にとって、ある意味この本は福音となるでしょう。
また、ある報道がなんのためにされているのか、その狙いを正しく見る目を養うことにとても役立ちます。
正しく数値をみることで、今後どういった国で重点的にビジネスをすればいいかということをつかむこともできます。
表紙裏の地図は一見の価値があると思います。
だが、数字で見えない部分はどうなるのか?
上で述べたとおりビジネスマンが一度読んでみるべき本だと思います。
ですが、この本を鵜呑みにして「世界は良くなっているので私が解決すべき問題はない」と考えるのは早計だと思います。
現に、日本の株価はあがり好景気だといわれているのにそれを実感している庶民の方は少ないでしょう。
シングルマザー、ロスジェネ、氷河期世代など、景気の数値ではわからない苦しみを抱えている人は大勢います。
私もロスジェネの一員として、平均がよくなったからと切り捨てられるグループにとって、この本をまるまる鵜呑みにした効率社会というのが正しいとは思えません。
この本はビジネスマンにとって必要な知識です。
ですが世界の社会の問題を放置しても問題ない、犠牲が少数であれば悲観的にならずに無視してもよいということにはならないはずです。
この本を熟読した上でそういった疑問をもたれる方もおられるかと思います。
そのため、ファクトフルネスと並行して読んでいただきたい本をご紹介いたします。