ファクトフルネスと並行して読んでほしい『資本主義って悪者なの?』

資本主義って悪者なの? ジクレール教授が孫娘に語るグローバル経済の未来

ジャン・ジクレール

訳 鳥取絹子

今一番売れいているビジネス書FUCTFULNESS ファクトフルネス を別の視点からみるために、私はこの本もおすすめします。

筆者のジャン・ジクレール教授はパリ ジュネーブ大学と、ソルボンヌ大学の元教授で、今は国連人権理事会の諮問委員会の副会長をされているそうです。

この本で、ジクレール教授は一握りの多国籍企業「オリガーキー」によって世界中で搾取がおこなわれていると訴えています。

例として次のような搾取の現状が書かれています。

住民1700万人のグアテマラには多国籍企業の農園が広がり、住民は安い賃金で雇われ風がふけば飛ぶような家に住み痩せこけ搾取されている。外国人と自国民1.86パーセントが耕地全体の67パーセントを所有している。農地改革をするように国連に勧告したが、国連はオリガーキーのいいなりで報告を水に流した。

資本主義って悪者なの? から要約

バングラディッシュでは窓ガラスが割れボロボロのコンクリートの建物で、24時間体制で女性がミシンに向かっている。ジーンズやTシャツなどを多国籍企業向けにつくっている。縫子たちは最低賃金のはるか下の賃金で働き栄養不足と貧困で苦しんでいる。ダッカの工場で建物が倒壊し1138人が生き埋めになったが責任者はだれもお咎めなしだった。

資本主義って悪者なの? から要約

人の目を引く「暗いニュース」も必要。真に多角的な視点を

この本はFUCTFULNESSでいう「暗いニュース」であふれています。

そして搾取されている人々は「その社会での平均」ではないのかもしれません。

バングラディッシュの縫い子の生活や染料で汚染された河などの報道はよく見ますが、報道されないような途上国の中産階級が増えていて、国民全体の生活水準がよくなっていることもまた真実でしょう。

でも、それが割合的に少ない貧困層を無視してもよいという話にもならないはずです。

日本の経済は上向いてるという平均の数値を述べられても、災害で家を追われた人たちやロスジェネの現状やシングルマザーの貧困問題などを語る必要がないということにはならないように。

必要以上に悲観的になり世界が悪い方向に向かっていると思う必要はないけれども、置いて行かれようとしている少数の人を無視していいという話でもない。

私はそう思います。

それが本当の多角的なものの見方というものではないでしょうか?