悪者に騙されない賢い子に育てる絵本「歯いしゃのチュー先生」「3びきのこぶた」「11ぴきのねことあほうどり」
世の中、全員が善良な人とは限りません。残念ながら善良なだけでは人にだまされてしまう・・・大人になるほとよくわかるこの本質をどうやって子どもに教えてあげればいいでしょうか?
昔はさまざまな物語でそれを教えていました。
日本の昔話だと「やまんば」とか「三枚のお札」とか、「耳無し法一」とかがありますが最近の子どもはあまり触れる機会がなくなったのではないでしょうか?
人から騙された結果「人間を信用せずに、騙されるより騙して暮らせ」という学びをされてもこまりますよね。
ちゃんと尊厳をもって生きながら、かつ賢く
ということでなくては。そういう「生きて行くには知恵が必要」ということを教えてくれる絵本を紹介いたします。
歯いしゃのチュー先生
ウィリアム・スタイグ
訳 内海まお
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歯医者のチュー先生は小さい体を使って丁寧な仕事をするから大型の動物さんに大人気。でも、ねずみなので猫や危ない動物のお客さんはお断り。そんなときに虫歯で苦しみ哀れに助けを求めるキツネが病院を訪れます。
あまりにかわいそうなので治療をしてあげますが、最初は感謝していたキツネもどんどん本能に勝てなくなってきて・・・
そんなキツネの本性を見抜きつつ
賢く知恵を出し合う夫婦
という姿が素敵です。
あくまでプライドをもって仕事をこなしつつ、身を守る知恵を見せるネズミの歯医者夫婦に大人でもうなってしまいます。
三びきのこぶた イギリスの昔話
ポール ガルドン
訳 晴海耕平
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いわずとしれた三匹のこぶたのお話ですが、あなたはどのような話か正確に思い出せるでしょうか?怠け者の二人の兄弟がしっかりものの三男が建てた煉瓦の家に逃げ込んで、オオカミをたおしてめでたしめでたし?
いいえ、昔子どもの頃にきいた本来の流れでは最初から違います。
三匹のうちは貧乏なので、ママがしかたなく世の中へ送り出したというところから始まります。出だし数行でもう暗雲たちこめてますね。おしんの世界です。
そしておにいちゃん二人はあっけなくオオカミに食べられてしまいます。
では末っ子はどうかというと、レンガで家をたてるしっかりもの屋さんというだけじゃなくて、かなり知恵が回ります。吹いても飛ばない家でオオカミを撃退しただけじゃなく、家から出そうと親切をよそおうオオカミにだまされず、危機をかわして、かつ外にでてオオカミを逆にだまして何度も実利を得るのです。
おにいちゃん二人があっけなく退場してしまうのはどうかという所かもしれませんが、末っ子の堅実かつ騙されず逆に手玉を取るという賢くたくましく生きるという部分までいっしょに人々の記憶からうすれつつあるのも良くないなと思います。
みんなが知ってる話だからこそ、ぜひおすすめです。
11ぴきのねことあほうどり
馬場のぼる
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絵はみんなみたことがあるという人もおおいでしょう11ぴきのねこシリーズ。
ちゃっかりもののねこたちがコロッケやをやって大繁盛!でも毎晩毎晩ごはんがコロッケばかりでイヤになった頃に、コロッケをもとめて1匹のあほうどりがやってきて・・・
あほうどりをだまして食べてしまおうなんて、今みたらモラルにかけてる主人公たち。でもそうは問屋がおろさない、というオチ。
子どもはちょっと悪かったりいたずらな主人公が好きですから・・・人をだまそうとしてもダメなのだと暗にしめしてあげるにはもってこいの内容です。