Netflix映画「マリッジ・ストーリー」から見える共働き夫婦の離婚と親権争いの今後

Netflixの映画で「マリッジストーリー」という映画があります。主演はスカーレット・ヨハンソンと、STARWARSでカイロ・レンを演じたアダム・ドライバー。

この映画はお互いにキャリアがある夫婦の共働きの難しさを描いています。

キャリアを犠牲にするということ

舞台演出家のチャーリーは結婚した女優のニコールと大切な子どもを育てながら、仕事面でも自身の劇団にニコールが出演。まわりの劇団員からみても二人三脚の夫婦でした。

だが、チャーリー率いる劇団がブロードウェイから声がかかるほどになりチャーリーは演出家として成功。一方、ニコールは若さを失っていき劇団のスターの立場から下り坂を迎えつつありました。NYに在住する二人ですが、ニコールは出身地のLAで仕事をしたい、監督業にも進出したいとチャーリーに訴えます。それでもチャーリーが聞き入れてくれないことに不満を募らせた彼女は、LAでドラマの配役を掴み息子と一緒にLAに引っ越して生活を始めます。

 

共働きが多くなった日本でも、キャリアのぶつかり合いによる離婚が起こりはじめているかもしれません。どちらかのキャリアを優先すると、どちらかに制限ができて不満が募る…これから増えてくるケースだと思います。

チャーリーは日本人の感覚にあてはめると模範的な子煩悩のイクメンであり、家事も几帳面な彼が率先して行っています。でもお互いのキャリアがあるアメリカでは家事を分担したりお金を出し合ってハウスキーパーを雇うのが当たり前。献身的に家庭に参加しているからといって離婚も親権を奪われかねない状況に陥ることも避けれないのですね…これは将来的な日本の夫婦の姿のようにも思えました。

アダム・ドライバー出演作です

アメリカの弁護士の怖さ・・・お互いに壊れていく姿が見ていられない

離婚をすることになって最初は弁護士を介さず協議をはじめていましたが、ニコールが知り合いからLAの辣腕女弁護士を紹介されることで一変します。生活拠点やどちらが養育をしているかの実績づくり、相手の弁護人の選定を邪魔する戦略を立てたりなど、かなりひどい争いが描かれていきます。

そしてお互いのあら捜しをしてお互い優位に立とうとしたり、そこでぶつかる本音の汚さ…かなり凄惨なものを見た気分です。

 

現在日本でも親権を争う際にはこのようなことが行われていますが、どちらかといえば 養育費の支払いをしてもらえないシングルマザーの貧困が離婚ニュースのメインで、親権を奪い合う悲惨さには焦点が当てられていないような気がします。

ですが、今後女性の進出が進みお互いのキャリアが重要になり、夫も育児に積極参加をするようになると、男性が積極的に親権争いに参加する率が増えてくるでしょう。

現在日本では圧倒的に女性の方が親権を取る可能性が大きいですが、DVや依存症等の問題がなければ、今後は夫の方が親権を得る割合も増えてくるでしょう。また、お互いに仕事をして稼ぐようになり、 お互いに同じように子どもを育てて愛情を深め、 お互い仕事で子どもに関われる時間が取れない共働き家庭だとしたら、海外のように子どもが年内の日数を決めて行き来する共同親権も検討されることでしょう。

親権とは賃金の多さでもこなした家事の量でもなく「子供の成育環境としてどちらが安定するか」が第一の材料です。どちらが親権を取ったとしても、子どもにはもう片方の親に稼ぎに見合った養育費を請求する権利があります。養育費とは親権をもった親の権利ではありません。離婚原因や慰謝料や財産分与にも関係がありません。子どもの権利です。

現在の日本で養育費の支払いが親権を失った親の面会条件になっているのは、養育費を支払わない不届きな親が多すぎるから、そしてDVや浮気などの問題行動が主な離婚原因だからという状況からにすぎません。この映画のようにお互いのキャリアのために別れるという状況では条件も愛情も五分五分からのスタートで、互いをけなしあい有利に進めようとする法廷での親権争いが発生しかねないのです。

この映画で表現されている離婚調停の悲惨さは今後の日本の夫婦に降りかかってくる可能性がおおきく、目をそらさずに見ておいた方がいいかもしれません。

Netflixの説明のなかで「コメディ」というタグがついてます。アメリカではある意味当たり前のことでコメディなんですね…怖い怖い

 

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